私たちは入院中の病児を対象に、プロのアーティスト公演による楽しいひと時を過ごしてもらうプログラムを開発し、2008年度から全
43回の小児病棟公演を行ってきました。(2010.12月現在)
「ホッとアートプレゼント」の目的は、
入院している子どもたちを真ん中に、クラウンや人形劇、マジックなど、ワクワク、夢中になれる楽しいひとときを小児病棟のみんなが一緒に参加し体験することで、
辛い治療や病気を一瞬でも忘れ、ホッとできる時間を共に喜び合っていただくことです。また、急性期や感染の心配があるお子さんやNICUの親子など会場に参加できない方々のために、ドクターや看護師さんから要請があれば個別に病室訪問をするなど、病棟全体が笑顔になれるようコーディネートします。
本プログラムは子どもNPO・子ども劇場全国センターと非営利の子育て・子育ち支援に実績のあるNPOがネットワークを作り、
小児医療・子どもの権利などの専門家と協働し、福祉医療機構の助成を得て3年間継続実施し、安全で達成度の高いプログラムにブラッシュアップしてきました。
実施に際してはセンター認定の地域コーディネーターが調整します。スタッフは全国14地域に60名が登録し、様々なケースから検証したガイドラインに従って、
病児とご家族、病院のニーズに応えられるよう研鑽を積んでいます。
提供する作品は、子どものための優れたパフォーミングアーツを厳選し、デリケートな小児病棟での公演にマッチするようアレンジし、
対象年齢や子ども達の状態、病棟の物理的な条件に合うようにコーディネートします。
実施結果では、28公演全ての対象(2009年度末/子ども・保護者・医療関係者)90%から強く再演を望まれ、2010年度も継続的な実施に展開しています。
これまでにプログラムを体験したドクター、看護師、保育士、チャイルドライフスペシャリストらからは、病児のQOL(生活の質)向上について現行の医療体制だけで負担することが困難な面について、
様々なプラスの効果があるという評価を得ています。
小児専門病院では、「子ども」はたとえ病気で治療・療養中であっても、急性期であっても、遊ぶ時間、ホッとする時間、
文化的な体験の時間が必要だと認識され、様々な取り組みが行われています。それでも限られたスタッフ体制での対応に困難な部分をこのプロジェクトが応援したいと思います。
ホッとアートプレゼントは2011年春、3年間の実施検証を終え、はじめてみなさんにこのプロジェクトをご紹介し、支援を求めるアクションを開始します。
また2010年度は、これまで2年間の評価をベースに日本小児科学会の後援を得て、全国508の小児科専門医研修施設を対象とした、
「入院病児QOL(生活の質)向上に関する、病棟ニーズの調査」を実施しました。私たちは、成長発達の過程にある子どもたちを支援し、
小児病棟の環境やニーズに応じ、医療の専門家が必要とするリソースを提供できる社会的な仕組みづくりを目指しています。
(調査結果は2011年春の公開予定です。2009年度の報告はこちらへ⇒)
0〜14歳までの入院している病児は、推定1日33,000人(h17年 10月厚生労働省調査)。
病院の様々な制約下で闘病し、生活している子どもと家族の課題は、一般に知られていないことが多く、
日本の小児病棟に入院している子どもの数は年間のべ1200万人と推定されます。
みなさんの関心と理解があれば、入院病児と家族のQOL(生活の質)を向上することができます。
さらに、医療スタッフのQOLと小児医療環境の改善が可能になると考えています。
- 本センターは子どもの体験活動・子育て支援に精通したキャリアを持ち、センターの規定研修を終了した方をコーディネーターに認定します。
- センターはコーディネーターをサポートし、最新の情報を提供します。
- センターは継続研修を実施し、コーディネーターは研修へ参加します。
「ホッとアートプレゼント」の実施にあたって
- コーディネーターは、病院の負担を軽減し子どもの安全をキープします。感染病予防等の見地からスタッフ全員の健康チェックを励行します。
- コーディネーターとスタッフは、参加者のプライバシーを守る万全の手立てをとります。
- 病院ご担当者へのヒアリングを行い、入院している子どもたちのニーズを的確に把握します。
- 対象病児の参加可能な範囲を予測します。
- 病棟のプレイルームなど、スペースと参加者数に見合うプログラムを選定・調整し、会場をセットします。
- プログラム時間は参加する子どもの体調・状況に応じ適切に調整します。
- 感染症対策、院内行動のルートを確認し、スタッフに周知します。
- 参加者への実施インフォメーションの方法を適切に判断します。
- プログラム実施当日のスタッフ配置を確認し、完了までのスムースな流れを確保します。
- 実施記録、アンケートの配布・回収・集計を確実に行い、正しく結果を評価します。
- 進行上の不明点は速やかに問い合わせ、病院・センターと必要な情報の共有を図ります。
- 記載以外の事案については、子どもの権利を守るために関係者と協議し柔軟に解決を図ります。
- センターは実施結果を検証し、プロジェクト全体の品質を維持向上し、コーディネーターの育成に努めます。